【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第143章 ◇第百四十二話◇すくうために許し合えたら【女型の巨人編】
本当に喧嘩する気なんだ。
そう思ったのと同時に、こんな風に感情をまっすぐにぶつけてくるリヴァイ兵長を見るのは初めてで、呆気にとられていたと思う。
怒られているという自覚は、たぶん、まだなかった。
「何か言い返すことはねぇのか。」
「えっと…、」
何か言えという顔で見られて、困ってしまう。
言い返すと言っても、何を言えばいいか分からない。
だから、とりあえず、誤解しているようなところだけは訂正しようと思った。
「無防備なつもりは、ないです。リヴァイ兵長以外の男の人に触れられるようなこともしてません。
勝手な行動については、私が悪かったです。どんな理由も言い訳にならないと思ってます。
でも、私の一番はいつでもリヴァイ兵長です。」
とりあえず、誤解だけは解こうと思っただけだったが、リヴァイ兵長の片眉を上げてしまった。
私の返答が、気に入らなかったようだった。
「夜勤の見回りのときにダイに抱きしめられてただろ。」
「え…。」
「俺が気づいてねぇとでも思ったのか。」
「それは…、でも、浮気とかじゃなくてー。」
「あぁ、俺のことで泣いてるところを抱きしめられたんだもんな。」
「なんで、知ってー。」
「いいか、あぁいうのは男はチャンスだと思うんだ。そこにつけこまれる。
俺のことで泣くなら、俺の胸で泣け。言いてぇことがあるなら、俺に言え。
そもそも、俺のことでも違っても、他の男の前で涙を見せるな。俺のもんだ。分かったか。」
怒ったように言われて、私は躊躇いがちに頷く。
それから、リヴァイ兵長は、今日の一日をどれだけ心配して、不安で過ごしたのかを教えてくれた。
腹が立ったことも、怪我をした足も自分も嫌いになったこともー。
「俺を死ぬほど心配させて、いつも俺の手の届かねぇ場所に行っちまう。
やっと帰ってきたと思えば、出てくる言い訳は女型のことばっかだ。
今度こそ俺はお前を、嫌いに…、なりそうだったんだぞ…。」
ずっと私の目を見て、喧嘩を吹っかけようとしていたリヴァイ兵長が、最後だけ目を伏せた。