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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第143章 ◇第百四十二話◇すくうために許し合えたら【女型の巨人編】


リヴァイ兵長が隣室にいると分かっていて、自室に残ることも出来なくて、私は談話室に来ていた。
窓を開け、窓枠に腰かけると、冷たい夜風が、私の頬を殴った。

『ウォール・ローゼに巨人が出たって報告があった後、リヴァイは自分も行くって大変だったんだ。
 でも、エルヴィンに止められて、状況も理解してるから必死に堪えたんだよ。
 きっと、生き地獄だったはずだ。すべて君を想ってだってことは、分かってやってくれ。』

談話室に来る途中、ハンジさんに会った。
私の顔を見て、リヴァイ兵長との間に何があったのかを大体は察したようだった。
そして、私の単独行動を知ったとき、ウォール・ローゼが突破された上、鎧の巨人と超大型巨人まで出現したと知ったとき、リヴァイ兵長がどれだけ心配していたのかを教えてくれた。
ミケ分隊長やナナバさん達は、私が来たから助かったとも言ってくれた。
だから、お咎めもなかった。
でも、きっと、そういう問題じゃない。
私とリヴァイ兵長の間にある問題は、巨人とか人類とか、そういうこととは別のところにあるのだから。
私は、リヴァイ兵長に声をかけてから行くべきだったのだろうか。
どうすれば、リヴァイ兵長を傷つけずに済んだのだろう。
いくら考えたって、もう遅い。
これで本当に、リヴァイ兵長は私に愛想が尽きた。
私は自分の手で、世界で一番愛している人を傷つけて、背中を向かせてしまった。
その上、可愛い妹だと思っていたアニは女型の巨人で、仲間だと信じていたライナーとベルトルトは敵だったなんてー。

「あぁ、もう…。本当…、最悪…。」

前髪をクシャリと握りしめ、唇を噛む。
心から大切にして守ってきたつもりだったものが、私の掌の隙間から、まるで砂のように零れ落ちていく。
どうすれば、すくえるのだろう。
この手で、両手を使って、必死にすくいあげれば、もう一度戻ってくるだろうかー。
分かってる。
そんなの無理だ。
愛する人の心すら守れない私の手では、誰も助けられない。
むしろ、手離す方がいつだって多い。
あぁ、もう本当…ー。

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