【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第143章 ◇第百四十二話◇すくうために許し合えたら【女型の巨人編】
「アンタってほんと、バカだね。」
自分の心の声と重なったそれに、顔を上げた。
こちらに歩み寄ろうとしているユミルを見つけて、私は自嘲気味に口元を歪める。
「すごいね、今、私もそう思ってたところなの。
本当、私は馬鹿だよ。もう嫌んなる…。自分が、大っ嫌い…!」
また、私は自分を痛めつけるみたいに前髪をクシャリと握りしめる。
こんなに自分のことを嫌いになったことはない。
呪い殺したいくらいだ。
でもその前に、せめて、リヴァイ兵長に謝りたい。
勝手な行動でどれだけ傷つけるのか、自分のことばかりで何も分かっていなかったことを、ちゃんとー。
許しては、もらえいないのだろうけれどー。
「そのバカに助けられる人間もいるんだ。嫌いになる必要はないと思うけどね。」
隣から思いがけない言葉をもらって、私は思わず顔を上げる。
ユミルは、壁に背中を預けて天井を見上げていた。
「私を地下牢に入れるって決めた団長達にが食って掛かったんだってね。
クリスタから聞いた。礼を言えって言われて探してたんだけど、必要ないだろ?」
「私が、勝手にしたことだから。」
「だよな。そう言うと思った。でも、分からねぇんだ。
どうして俺を助けるようなことをした?
アンタの親友を殺した巨人の仲間かもしれないんだぜ?」
ユミルは終始、私の方を見ようとはしなかった。
ただひたすら、天井を見上げていた。
きっと、答えが怖いんだ。
みんなそう、自分が誰かにどう思われているのか分からないから、それを知るのが怖い。
でも、本当は知りたい。
嫌われていないか、信じてもいい人なのかー。
「そうだね。まだ肝心なことは話してくれないし、ユミルは私達に心を見せてはくれない。」
ユミルは、小馬鹿にするような笑みを浮かべただけで、何も答えなかった。
今も、兵舎に帰ってからもー。