【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第143章 ◇第百四十二話◇すくうために許し合えたら【女型の巨人編】
しばらくの沈黙の後、頭を抱えたままで、リヴァイ兵長が漸く口を開く。
「仲間を殺しまくった女のために何が出来るか必死に考えて、命懸けてる間、
の頭に、たった一瞬でも、俺は過ぎったのか…?
俺がどんな思いで、の帰りを待っているか、少しは考えたか…?」
絞り出すように出てきたそれに、ハッと息を呑んだ。
そして、それこそが、リヴァイ兵長の質問の答えに違いなかった。
今にも泣きだしそうな、苦し気なその姿に、胸が痛い。
リヴァイ兵長が心配しているのが、分からなかったわけじゃない。
でもー。
「心配ばかりかけて、申し訳ないとは…考えました。」
「…あぁ、そうか。お前の気持ちは、よく分かった。
もういい。出ていけ。」
何かを諦めたような表情で、リヴァイ兵長は私に背を向けた。
慌てて立ち上がり、デスクへ向かう背中に声をかけた。
「リヴァイ兵長っ、本当にすみませんでしたっ。
これからはもっとちゃんとー。」
「悪い、お前のことを殴っちまいそうなんだ。顔も見たくない。
出て行ってくれ。」
リヴァイ兵長は、椅子に腰かけ、私に背を向ける。
冷たい背中、リヴァイ兵長から拒絶の言葉を投げられたのは初めてだった。
私は、優しいリヴァイ兵長にそんな風に思わせてしまうほど、彼の気持ちを蔑ろにしたー。
誰よりも優しく、私を守ってくれていた人を、傷つけたー。
唇を噛み、頭を下げて、私は自分の部屋に戻った。