【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第16章 ◇第十五話◇入団【調査兵団入団編】
「入団祝いだ。」
リヴァイ兵長は背を向けたまま、窓枠に見覚えのある紙袋を置いた。
前にリヴァイ兵長と一緒に紅茶を買いに行ったお店のものだ。
入団祝い、と言われた。
これをくれるということだろうか。
入団祝いを、しかもリヴァイ兵長から貰えるなんて、思っていなかったから、驚いた。
「開けてもいいんですか?」
「好きにすればいい。」
紙袋を手に持ってみると、固い箱のようなものが入っているのが分かった。
紅茶かと思ったが、違うのかもしれない。
紙袋をゆっくりと開く。思った通り小さな木箱が入っている。
なんだろう―。
木箱の蓋をそっと開けて、私は息を呑んだ。
(うそ…。)
信じられない。
木箱に入っていたのは、あの日、本当は欲しかったけれど私には値段が高すぎて買えなかったあのティーカップだった。
「こんな…!こんな、高価なもの受け取れません…!!」
慌てて蓋をして、リヴァイ兵長に突き返した。
でも、背を向けたままで、受け取ってはくれなかった。
そして、思いもよらないことを言われた。
「おれは、お前を殺しかけた。」
「え?」
「その詫びだ。」
「そんなの…、リヴァイ兵長は何も悪くありません。
あれは、私のせいで…。
それに、リヴァイ兵長は私を助けてくれたじゃないですか。」
命の恩人ではあっても、リヴァイ兵長が私を殺しかけたなんて、絶対にありえない。
でも、リヴァイ兵長は、自分の監督不行き届きで怖い思いをさせて悪かったと謝った。
あの日から、リヴァイ兵長とはずっと会っていなかった。
勝手な行動をして死にかけた私のことをずっと怒っていると思ってた。
もしかして、ずっと、自分のせいだと自分を責めていたのだろうか。
「これは…、人類最強のくせに潔癖で毒舌で、
でも、とっても優しい上官からの入団祝いとして頂きます。」
「おれは別に―。」
「ありがとうございます。」
ティーカップの入った木箱を優しく抱きしめる。