【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第137章 ◇第百三十六話◇逃げていく背中【女型の巨人編】
女型の巨人がエレンを追いかけていく後ろ姿が見えなくなって、それほど時間は経たず、遠くから巨人化するときの光が放たれた。
とうとう女型の巨人に追いついかれたエレンが巨人化したようだ。
(ちゃんと、補充してきてれば…っ。)
リヴァイ班の精鋭達にあれだけ啖呵を切って、自分ひとりで女型の巨人を食い止めると言っておきながらこの有様だ。
拳を握った私の頭上から、立体起動装置のガスの音が聞こえた。
私が顔をあげたのと同時に、リヴァイ兵長が地面に降りた。
「時間がねぇ。が勝手な行動をとったことについての説教は後だ。
女型はどうなった。」
「ここで刃とガスが切れて、逃げられました。
エレンが追い付かれてしまったようで、さっき、巨人化の光が…。
エレンが巨人化して応戦していると思われます。」
「チッ…!」
リヴァイ兵長が、森の奥を睨みつける。
この先で、私たちが守るべきエレンが1人で戦っているー。
「エルド!!はガス切れだ!お前がを抱えていけ!!
すぐにを連れて、本部に報告だ!!俺は女型を追う!!」
「了解です!!」
リヴァイ兵長が後ろに叫んだの聞いて、リヴァイ班のメンバーも一緒に追いかけてきてくれていたことを知った。
飛んでいくリヴァイ兵長の背中を目で追いかけながら、私は自分の髪をクシャリと握りしめる。
どうして、こんなことになったんだろうー。
「!!無事でよかったよ!!」
ペトラが私を抱きしめる。
その温もりが妙に悲しくて、優しくて、私は堪えきれずに泣いた。
必死にペトラにしがみついて、泣いて、泣いて、泣いた。
「どうして…、無事なんだ…?」
ガス切れの立体起動装置、散らばる超硬質スチールの刃の向こうで、エルドが呟く声が聞こえた。