【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第138章 ◇第百三十七話◇大きな犠牲を連れて、帰還する【女型の巨人編】
リヴァイ兵長とミカサのおかげで、エレンの奪還には成功したが、やはり女型の巨人の捕獲は諦めるしかなかった。
リヴァイ班の精鋭兵達も戻り、女型の巨人はリヴァイ兵長によって動けない状況にある。
でも、エレン奪還時に、リヴァイ兵長が足を負傷してしまったこともあり、これ以上の深追いは犠牲を増やすだけだとエルヴィン団長が判断した。
そして今、今回の壁外調査で多大の犠牲を出した調査兵達は、巨人の姿が見えないことを確認した上で、大草原の中で馬を休めていた。
遠くに、私の友人を二度も奪った巨大樹の森が見えている。
この世で最も嫌いな場所から背を向け、私はエレンの元へ向かった。
荷馬車の上で、ミカサの膝に頭を乗せて横たわるエレンは、巨人化した影響で意識を失っていた。
外傷はないようだったので、いつものようにじきに目を覚ますだろうということだった。
「ごめんね、ミカサ。エレンを守れなくて。」
荷馬車の隣に立ち、ミカサに声をかけた。
女型の巨人は、エレンを口にふくんで逃げていたらしい。
そして、ミカサは、エレンが女型の巨人に食われるのを見たのだと、クリスタから聞いた。
怖かっただろう。きっと、すごく怖かった。
地面が崩れ落ちるようなそんな感覚を、私は知っているー。
エレンの寝顔を心配そうに見下ろしていたミカサは、ゆっくりと顔を上げると、小さく首を横に振った。
「ペトラさん達から聞きました。エレンを守るために1人で戦ってくれて、ありがとうございました。」
「何も、出来なかった。」
「自分達が生きているのは、さんのおかげだと言っていました。
彼らはエレンを守るために必要な人達です。だからー。」
ありがとうございましたー。
ミカサに頭を下げられて、胸が苦しくなった。