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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第15章 ◇第十四話◇入団テスト【調査兵団入団編】


「ここにいるのは、あの日、君に命を救われた人達とそのご家族だよ。」

ハンジさんが言った。
驚いた私は、改めて部屋にいる人達の顔を見渡す。
そういえば、駐屯兵達は確かにそんな気がする。見覚えのない人達もいるが、それは彼らの家族ということなのだろう。
彼らが口々に私に礼を言ってくることや、私を見て泣いている人さえいることの理由をようやく理解した。

「あの日、私達を助けてくれた貴女にどうしてもお礼を言いたくて
 ずっと探していたんです。そしたら、同じように貴女を探してる方が他にもいることを知って
 ようやく調査兵団に貴女がいることが分かって、会いたいとお願いをしたんです。」

お忙しいところすみません―と頭を下げられて、胸が痛くなった。
確かに調査兵団の兵員たちは今、とても忙しい。
兵法会議の日程が決まったからだ。
でも、私はここ数日ずっと部屋に閉じこもっていた。自分の殻にこもって、自分の無力さを嘆くことしかしていなかった。
それなのに、彼らは、そんな私を救世主でも見るような目で映している。
あの日、私は自分のために、私が逃げたせいで誰かが死ぬのが怖くて、無我夢中で超硬質スチールを振り下ろしただけなのに―。
目を伏せる私の気持ちに気づいたのか、ハンジさんがそっと私の肩に手を乗せた。

「あの日の君も必死だった。思うところもあるかもしれない。
 でも、彼らにとって、そんなことは関係ないんだ。
 だって―。」

君がいたから今こうして生きて会えているのだから―。
ハンジさんが続けたその言葉は、私の胸にストンと落ちた。
あの日、家族の死を嘆く誰かの隣で、家族が生きていることを泣いて喜んだ誰かもいた。
私もその中の1人だった。
彼らも、そうだったのだろうか。
そして、私が逃げていたら、私がいなかったら、家族の死を嘆く誰かの1人になっていたのだろうか。

『ヒルラ…っ。』

ヒルラのお葬式で、彼女の母親が棺にしがみついて泣いていたことを思い出した。母親の後ろでは、父親が必死に涙を堪えていて、彼の顔は悲愴に満ちていた。
私を含め、ここにいる誰もが、あの日の彼らになっていてもおかしくなかった。
私達と彼らの運命を分けたのは何だったのだろう。
私に命を救われた―という人達は、ひとりひとり順番に私を抱きしめた。

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