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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第15章 ◇第十四話◇入団テスト【調査兵団入団編】


会わせたい人がいる―。
部屋に訪れるなりそう言ったハンジさんに調査兵の制服に着替えさせられた私は、3日ぶりに自室から出た。
そして、連れてこらされたのは、トロスト区内にある駐屯兵団施設だった。
普段は会議室に使っていると思われるその部屋には、駐屯兵が数名と一般市民だと思われる老若男女が待ち構えていた。
会わせたい人というのは、この中にいるのだろうか。

「あのー。」
「おねーたん!!」

何のために連れてこられたのか分からずハンジさんに訊ねようとしたとき、可愛らしい声が追いかけてきた。
子猫のように私の足元に抱き着いてきたのは3歳くらいの女の子だった。
私の顔を見上げて、なんだかとっても嬉しそうな笑顔を向けてくる。
私のことを知っているような態度だが、こんなに小さな可愛いお友達がいた覚えはない。
一体、誰―。
可愛らしい女の子を筆頭に、この部屋にいた老若男女が口々に声をかけてきた。
それは、兵士に対する労いだったり感謝の言葉が主だった。中には、先日の入団テストを兼ねて行った壁外での巨人討伐を壁上での任務中に見ていたらしく、素晴らしかったと褒めてくる駐屯兵もいた。
あれを見ていたのなら、私が巨人の手の中で何もできない餌に過ぎなかったのも知っているはずなのに―。

「あの、これはどういうことですか?」

今度こそハンジさんに訊ねた。
だが、答えたのは、私の足元に抱き着く3歳くらいの女の子を抱き上げた女性だった。
彼女には、見覚えがあった。

「あ…!」
「あのときは、本当に有難うございました。」

私の顔見て涙を流し、深々と頭を下げたその女性は、あの巨人襲来の日に瓦礫の下敷きになっていた母親だ。
ということは―。

「この子は、あのときあなたが命を懸けて助けてくれた娘です。
 昨日、誕生日を迎えて3歳になったんですよ。」

とても幸福そうに、母親は微笑んだ。
母親の腕の中で笑う少女もなんだかとても誇らしげだ。

「そうなんですね。
 お誕生日、おめでとう。」
「あーとござましゅ!」

なんとも可愛らしいお礼の言葉に、自然と頬が緩む。
笑みがこぼれるーなんてこと、もう二度とないと思ったのに。
子供の力は本当にすごい。
あの日、死にかけた子猫にしか見えなかった少女が、こんなにはつらつとしているのだ。
今の少女は、生気に満ちている。

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