【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第15章 ◇第十四話◇入団テスト【調査兵団入団編】
入団テストを兼ねた壁外任務から帰還してから、私はずっと自室に籠っていた。
外に出てもそこに巨人は歩いていないことは分かっている。
でも、また巨人に食べられそうになるイメージが頭から消えてくれないのだ。
『今回の入団テストの結果は、とりあえず、保留ってことになったよ。』
入団テストの翌日、上官会議を終えてやってきたハンジさんは、とても残念そうにそう言って、眉尻を下げた。
一緒にやってきていたナナバさんとゲルガーさんも似たような顔をしていた。
私は、彼らの期待に応えられなかった。
「ごめんなさい…。」
心配して来てくれたハンジさんに謝ることしかできなかった。
繰り返される謝罪の言葉に、ハンジさんの方が泣きそうになっている。
悪いのは、私なのに。
実力を過信して、巨人と人類の関係を勘違いして、死にかけた私が悪い。
そう言えばきっと、リヴァイ兵長は、その通りだと言うんだろう。
あれ以来、リヴァイ兵長にも会っていない。
きっと、呆れているに違いない。
「入団テストは不合格ってわけじゃないんだよ。」
「はい…。」
「実力は申し分ないってリヴァイも言ってる。あとは…。」
そこまで言って、ハンジさんは口を閉ざした。
あとは―、その後に続くものが何なのか、なんとなく分かる。
巨人と戦うという気持ちがあるのか、ということなのだろう。
でも―。
「ごめんなさい…。もう…、無理…。無理です…。」
消え入りそうなその声が、ハンジさんに届いたのかは分からない。
そっと私の頭を撫でたハンジさんは、ゆっくり休んでとだけ言って、部屋を出ていった。
1人の部屋で私は、膝を抱えて、泣いた。