【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第122章 ◇第百二十一話◇迷子の天使【女型の巨人編】
自分の夕飯をサッと済ませた私は、ベッドの縁に腰かけて、お腹を空かせて泣き出したヨシュカにミルクを飲ませていた。
腕の中にすっぽりとおさまってしまうくらいの小さな体で、必死に生きるために哺乳瓶を吸う姿は、可愛らしさと勇ましさが共存していると思う。
「小せぇくせに、勇ましいな。」
ミルクを飲む姿を覗き込みながら、リヴァイ兵長は感心したように言う。
私と同じことを思ったのだと分かって、嬉しくなる。
『どういうことですか!?』
『父親が見つからねぇ。』
『そんな…!誰か必ずいるはずでしょう?!』
『誰も名乗り出ねぇんだ。調べればわかるかもしれねぇが
そのために、壁外調査前の貴重な時間を割くのは良くねぇとエルヴィンが判断した。
やっと調べ終えた頃に母親が迎えに来るなら余計にな。』
『…それは分かりました。でも、どうして、私がお世話なんですか?
赤ちゃんなんて、育てたことないのに…。』
『お前が…。』
『私が?』
『見つけたから…。』
『・・・・。』
『責任を持って、1週間預かれと、エルヴィンが…。』
『判断した?』
『あぁ。』
『それ、自分で言って、あれ?何かおかしいな?って思いませんでした?』
『…頼む!』
今、思い出しても意味が分からない。
あのとき、最初にヨシュカを見つけたのは絶対にエルヴィン団長だったはずだ。
その後にリヴァイ兵長で、最後に私だ。
私はただ、あの2人がパニックになっている間に、泣いているヨシュカを抱き上げただけだ。
それなのにー。
「ふふ、可愛い。」
ミルクを飲みほしたヨシュカは、あっという間に眠ってしまった。
気持ちよさそうに眠る寝顔は、とても可愛い。
「リヴァイ兵長はお部屋に戻っていいですよ。」
「はどうするんだ。」
「医療兵のドクさんが言うには、このくらいの月齢の赤ちゃんは、
3時間くらいでミルクを欲しがるらしいので、ヨシュカが寝てる間に
私も寝てしまおうかなって。」
「あぁ、そういうことか。
じゃあ、俺がを寝かしつけてやろう。」
「なんですか、それ。」
クスリと笑って、ヨシュカを起こしてしまわないように、そっと立ち上がる。