【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第122章 ◇第百二十一話◇迷子の天使【女型の巨人編】
そして、リヴァイ兵長も見守る中、急遽私のベッド横に用意した簡易的なベビーベッドにヨシュカをゆっくりとおろすー。
「ォギャアアアアッ!」
「あ…。」
「泣いたな。」
起きてしまった。
猛烈に泣かせてしまった。
慌ててもう一度抱き上げる。
「よしよし、大丈夫だよ~。ねんね~、ねんねだよ~。」
腕の中で小さく揺らし、ヨシュカに優しく声をかける。
お腹いっぱいで眠たいヨシュカは、すぐに眠ってくれた。
ホッとして、私はもう一度、ベビーベッドにヨシュカをおろしてー。
「ォギャアアアアッ!」
「…。」
「ダメだな。」
もしかして、ベビーベッドで眠るのが嫌なのだろうか。
抱き上げれば、ヨシュカはあっという間に眠りに着いた。
「抱っこがいいのかな。」
「そうかもな。」
「んー…、じゃあ、仕方ないし、抱っこで寝かせておきます。」
ヨシュカを抱いてソファに腰を降ろした。
どうせまた数時間したら、お腹の空いたヨシュカに起こされるのなら、ここで抱っこしていてやろう。
「ずっとか?」
「寂しいのかもしれないから。」
気持ちよさそうに眠るヨシュカの柔らかい頬にそっと触れる。
赤ちゃんは、壊れてしまいそうなくらいか弱いのに、生命力に溢れている。
この世で最も神聖な存在な気がした。
そんなヨシュカなのに、何があったのかは分からないが、母親に置いてきぼりにされ、父親は名乗り出てもくれない。
それならせめて、私がお世話をしている間だけでも、寂しい想いをしなくてもいいようにー。
「俺も付き合う。」
リヴァイ兵長が隣に腰を降ろす。
「いいですよっ。リヴァイ兵長は明日もエレンの巨人化実験とか会議とか
忙しいでしょう?
ここで抱っこするだけだし、1人で出来ますよ。」
きっと、私に赤ちゃんを押しつけてしまって、申し訳なく思っているのだろう。
気を遣わなくてもいいからと、伝える。
でも、リヴァイ兵長は組んだ脚に乗せた肘で頬杖をついて、満足気な流し目を私によこしてー。
「が赤ん坊抱いてる姿をもう少し見てぇだけだ。」
「そう、ですか…。」
嬉しいような、恥ずかしいような、照れ臭い気持ちで、私は誤魔化すようにヨシュカの頭を撫でた。
気持ちが良かったのか、口元が少し嬉しそうに微笑んでくれて、可愛いなぁと思う。