【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第120章 ◇第百十九話◇心配してくれる人達を怒らせた【女型の巨人編】
「もうすぐ休憩も終わるだろう。
俺が代わりに案内してやるから、お前は任務に戻って構わん。」
上官の男はそう言うと、私の方を見て、厭らしく口を歪める。
そして、私の腕を強引に掴んだ。
「アニが任務に戻るなら、私も散歩は終わりでいいですっ。」
「いいですよ、気を遣わなくて。
俺の休憩はこれからなので。」
「嫌がってんですよ。離してやってください。」
腕を引き離そうとする私の抵抗を無視する上官の男は、自分が嫌がられていることにすら気づいている様子がない。
部下であるアニの忠告も耳に入っていないようだ。
「!!」
行く、行かない、と腕の引っ張り合いをしていると、後ろから私の名前を呼ぶ声がした。
振り向くと、リヴァイ兵長がこっちにやって来ている姿が見える。
エルヴィン団長は一緒にいないけれど、会議は終わったのだろうか。
「げ…、調査兵団のリヴァイじゃねぇか…。
なんで、アイツがこんなとこに。」
「今日、調査兵の起こした事件の裁判に参加するために来たんですよ。
今朝、報告があったはずですけど?」
「チッ…っ、知ってんだよっ!それくらいな!!
もう裁判は終わったはずなのに、どうしてアイツがまだ残ってんのかって言ってんだよ!」
「あぁ、そうですか。なぜでしょうね。」
部下に恥をかかされたとでも思ったのか、上官の男がアニを怒鳴りつける。
それが理不尽にしか見えなくて、私は凄くカチンときたけれど、アニは右から左に聞き流している様子だ。
こういうことは、よくあるのかもしれない。
どんなに綺麗な施設でも、こんな上官がいるんじゃ最低の施設になってしまう。
「おい、忙しい憲兵が、コイツに何か用があるとは思えねぇが?
俺の知らねぇ問題でも起きたってことか?」
すぐにリヴァイ兵長がやってきて、私の腰に手を回して自分の方へと引き寄せた。
人類最強の兵士の睨みは、自己中心的で空気の読めない男でも、怖ろしいと感じるらしい。
顔を引きつらせていた。
「もしかして…、リヴァイの女か…?」
「あぁ、他の男にくれてやる気はねぇ。
その汚ぇ手を離しやがれ。」
リヴァイ兵長にすごまれて、上官の男が慌てて手を離した。
そして、仕事がどうの―と言いながら逃げ去っていく。