【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第15章 ◇第十四話◇入団テスト【調査兵団入団編】
そして私は、空へ上がる蒸気の向こうにもう1体巨人がいることに気づいた。
6体倒したら、リヴァイ兵長は驚くだろうか。
驚いた後、よくやったと褒めているリヴァイ兵長の顔を想像したら自然と笑みがこぼれた。
ハンジさんやナナバさん達も私が想像以上の働きをしたらきっと喜んでくれる。
自分ならいける―自信があった。
「おい、どこへ行く!ソイツは…!」
リヴァイ兵長が後ろから呼び止めようとしている声は聞こえていた。
でも、敢えて止まらなかった。
自分が巨人に食べられているイメージなんて全くなかった。
たぶん、私は、初めて巨人に向けてアンカーを飛ばしたあの日からずっと、まさか自分が巨人に食べられるなんて想像もしていなかったのだと思う。
巨人が飛ばした大きな岩にヒルラは潰されたのに、トロスト区での兵士達の作戦でもたくさんの人が巨人に捕食されているのを見たのに、私はずっと心のどこかで、それを他人事だと思っていたのだろう。
だから、思わぬ動きをしたその巨人が奇行種だということに気づいて、慌ててアンカーを他の方へ飛ばそうとしたせいでバランスを崩したときも、これからどうなるのかなんて分かっていなかったように思う。