【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第118章 ◇第百十七話◇いつか地平線を眺めるなら【女型の巨人編】
ザザザー…。
白い砂の絨毯に波が行ったり来たりするのを眺めながら歩く。
砂浜にヒールが埋もれて歩きづらいから、途中で脱いだ。
ひんやりとしたきめの細かい砂が裸足に纏わりついて、不思議と気持ちがいい。
1人で歩いているときは、煩わしくて仕方がなかったはずなのにー。
そんなことを思いながら、手を繋いで歩く愛おしい人を見る。
彼は、何処までも続く青い海を眺めていた。
その綺麗な横顔がとても儚げで、なぜかとても胸が苦しくなった。
だから、握る手に力を込めれば、海を映していた彼の瞳が私を映した。
太陽の光が彼を輝かせるから、相も変わらず、私は胸をときめかせる。
彼の瞳には、隣を歩く私はどんな風に映っているのだろう。
今日は特別に綺麗だなー、なんて思ってくれていたら嬉しいな。
私は、今日も世界一素敵だなー、て思ってる。
≪アニキーっ!ーーっ!!≫
後ろから、私達を呼ぶ声がして立ち止まる。
振り向くと、可愛らしい友人が大きく手を振って笑顔で駆け寄ってきていた。
普段から服は動きやすいのが一番だと言っている彼女も、さすがに今日はおしとやかなワンピースを着ている。
でも、そんな風に走ってしまったら、せっかく可愛くセットした髪も乱れてしまうんじゃないかと心配になってしまう。
その後ろには、面倒くさそうに歩きながらこちらに向かってきている頼りがいのある友人の姿も見える。
彼もまた、いつものラフな格好とは違って、タキシードでビシッとキメている。
いつものイメージと違うけれど、それはそれでとても似合うとは思う。
でもやっぱり、私の愛おしい人には敵わない。
≪もうみんな集まってるぜ。お前らが主役なんだから、早く戻れよ。≫
意外とタキシードの似合う友人は、私達を窘めるとすぐに元来た道を戻っていく。
≪美味そうなもんがたくさんあったぜ!
早く終わらせて、食い尽くそうぜっ!!≫
嬉しそうに言った可愛い友人は、また騒がしく走って戻っていく。
せっかくのお洒落やワンピースよりも食事の方が楽しみのようだ。