【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第118章 ◇第百十七話◇いつか地平線を眺めるなら【女型の巨人編】
でも、私はもう少しここにいたくて、海を振り返る。
いつか、この青い海の向こうにはどんな世界があるのだろう、と夢を馳せたことがある気がする。
それは遠い遠い昔のような気もするし、つい昨日だったような気もする。
その時も、隣には彼がいたはずなのだけれど、いつのことだっけー。
不意に、潮風に真っ白いドレスが舞って踊る。
慌てて押さえると、隣でクスリと笑われてしまった。
≪さぁ、行こうか。≫
誰よりもタキシードの似合う私の騎士が、優しく手を差し伸べる。
決して大きくはないその手で、初めて出逢ったその日から、ようやく迎えられる今日の日まで、この世界にある悲しみの全てから私を守ってくれた。
何よりも強くて、優しい彼の手。
そっと握れば、愛おしさと共に懐かしさも湧きあがる。
≪ねぇ。≫
≪ん?≫
≪私、生まれる前からずっと大好きなんですよ。≫
≪あぁ、知ってる。生まれる前からずっと。≫
海の見える教会に向かう前に、2人だけで永遠の愛を誓うキスを交わす。
そして私達は、並んで歩いてきた足跡を辿るように、大切な人達の待つ場所へと向かった。
隣を歩く私を愛おしそうに見つめる優しい彼の瞳には、世界一幸せな花嫁が映っていた。