【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第15章 ◇第十四話◇入団テスト【調査兵団入団編】
トロスト区の外門は、巨人化出来る訓練兵の力によって大きな岩で塞がれている。
私達人類は、ここが開くことはもうないと考えている。
超大型巨人の力をもってしても、恐らくこの大岩を蹴り上げることは出来ないだろうから。
でも、知性のない巨人がそんなことを理解しているわけがなく、トロスト区の壁外近くにはまだ数体の巨人がいて、次に扉が開くのを今か今かと待っているように見えた。
「遅い。速く動けねぇとすぐに巨人の胃袋の中だぞ。」
「はいっ!」
腕を伸ばして、ガスの風圧に耐えながらアンカーを出来るだけ遠くへ飛ばす。
あっという間に遥か先に行ってしまうリヴァイ兵長を必死に追いかけた。
前回の壁外任務のとき、ハンジさん達が私のスピードに合わせてくれていたのだということを嫌というほどに思い知らされる。
どんなに急いでも追いつけない。焦れば焦るほど、リヴァイ兵長は遠くへ行ってしまう。
そしてまた、遠くでリヴァイ兵長が巨人を討伐したのが分かった。
リヴァイ兵長の巨人討伐スキルは、世界のすべてがそういうように他のベテラン調査兵の比にはならないほどに群を抜いていた。
その姿はまるで踊ってるみたいで、美しい弧を描き、一瞬で巨人を討伐するのだ。
リヴァイ兵長の巨人討伐スキルを身に着けられれば―そう思ってその動きを必死に観察しているのだけれど、目にもとまらぬ速さで巨人を討伐してしまうからうまく真似できずにいる。
今回の壁外任務の目的が入団テストだけではないことは、ハンジさんやナナバさん達から聞いている。
彼らには、しっかりリヴァイ兵長の動きを学ぶようにと言われている。
だからこそ、必死にリヴァイ兵長に食らいつこうとしているのだが、立体起動装置の操作も人並外れていて、追いつくことすら出来ない。
このままではこの辺の巨人はすべてリヴァイ兵長に駆逐尽くされてしまう。
ここで私は最低5体の巨人を倒さないといけないのに、まだ3体しか倒せていない。
必死に追いかけていると、リヴァイ兵長が少しスピードを落とした。
そして、やっと隣に並んだ私に向かって口を開いた。
「右から1体くる。お前はソイツを倒せ。
おれは左の2体をやる。」
返事をする暇も余裕もない私を残して、リヴァイ兵長は2体の巨人のもとへ飛んで行ってしまった。
まさか、入団テストで1人残されるとは思ってなかったが、やるしかない―。