【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第115章 ◇第百十四話◇水を得たいのに海を知らない魚【女型の巨人編】
アルミンと雑談を交わしながら、本棚に本を戻し始める。
「今日、リヴァイ兵長は最後の診察らしいですね。
図書室に来る前に、エレンに会って聞きました。」
「本当はこの前の診察で最後のはずだったんだけどね。」
本棚に本を戻しながら、前回の診察の後のリヴァイ兵長を思い出す。
身体もだいぶ元通りに動くようになり、本人としては完治のつもりだったらしい。
ただ、血液検査の結果、炎症を示す値が出て、念のためにもう少し様子を見ることになってしまったのだ。
壁外調査前の人類最強の兵士の身体のことということもあり、普段以上に慎重になっているというのもあるかもしれない。
ただ、本人としては不本意な結果だったらしく、怖い顔で医療兵達を睨みつけていたけれどー。
「そうだったんですか。でも、僕ももう少し早く治るのかなって思ってました。
意識不明で運ばれてきたのに、すぐに動けるようになってたので。」
「医療兵の先輩達も人並外れた回復力だって言ってたんだけどね。
リヴァイ兵長が全然安静にしてなかったからかなぁ。
まぁ、壁外まで私を探しに来させたりしちゃったし、私にも責任はあるけどね。」
あの日のことを思い出すと、リヴァイ兵長には申し訳ない気持ちになる。
心配をかけてしまったことも、完治していないからこそ壁外に出るのをエルヴィン団長に禁止されていたのに、探しに来てもらったことも、私がそれを望んでしまったこともー。
そして、一度は、約束を忘れて生きることを諦めてしまったこともー。
「あれはさんは悪くないですよ。
生きてここにいるんですから、強いなぁと思います。」
「ありがとう。
ところで、何を読んでるの?」
話しながら持ってきた本の山をすべて本棚に返し終えた私は、アルミンのお隣に腰を降ろした。