【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第14章 ◇第十三話◇紅茶【調査兵団入団編】
私とリヴァイ兵長が兵舎に戻ってきたころには、夕陽が地面を赤く照らし出していた。
私がカフェでぼんやりと通りを眺めている間にかなり時間が過ぎていたようだ。
ずっと通りを見ていたからリヴァイ兵長がいつ紅茶を飲み終えたかは分からない。
でも、早く紅茶を飲めと急かそうとしなかったから、リヴァイ兵長ものんびりしていたのかもしれない。
「今日はとても楽しかったです。
紅茶までご馳走になってしまって、すみませんでした。」
宿舎の入口までやってきて、リヴァイ兵長に頭を下げた。
カフェのお兄さんは首を傾げながら、新しい恋人が先に会計を済ませていたと教えてくれた。
誰かが会計を済ませてくれたということは数秒で理解できたが、その新しい恋人というのがリヴァイ兵長のことだと理解するのに時間がかかってしまった。
リヴァイ兵長はカフェで一度席を立ったことがあった。
トイレだと思っていたが、あのとき、伝票を持って会計を済ませてくれていたようだ。
とりあえず、カフェのお兄さんには、あの男は上官もどきであり、恋人になることなど未来永劫ありえないことをきちんと説明しておいた。
私にもリヴァイ兵長にも大変失礼な勘違いだ。
「雀の涙に馳走になるほど落ちぶれてねぇんだよ。」
「すみません…。」
「チッ…。あー…、あれだ。
なかなか美味い紅茶を出す店だった。褒めてやる。」
「え?」
「紹介料は払ってやったから、今回はそれで手打ちだ。」
威張った物言いのリヴァイ兵長だが、顔が若干赤く見えるのは夕陽のせいだろうか。
「あの…、もしかして、照れて―。」
「あぁ?」
「なんでもありません。」
怖い顔で睨んでくるリヴァイ兵長がなんだか可愛くて、思いっきり笑ってしまった。