【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第112章 ◇第百十一話◇2人だけの幸せな物語をこれからも【恋の行方編】
漸く熱が下がった私は、ハンジさんとモブリットさんの好意で引っ越した部屋を改めて見渡して、喜びをー。
「…これは…。」
掌の上で、可哀想な姿になってしまっている宝物を見下ろし、私は絶望に打ちひしがれていた。
熱が下がったことを知ったハンジ班やリヴァイ班のみんなが、夕食の後に部屋に会いに来てくれた。
快気祝いだと、美味しそうなホールのケーキと紅茶の葉をくれた。
スキップして、リヴァイ兵長の部屋にある給湯室に向かった。
食器棚から、宝物のティーカップを取り出そうとしてー。
なぜー。
一体、何がー。
パニックになって、真っ二つに割れたティーカップを部屋に持っていくと、みんな、この惨状を知っているようだった。
「ごめんねぇ、。
私がミスって落としちゃったんだ。」
アハハハー。
ハンジさんが頭を掻いた。なぜかとても愉快そうに。
いやいや、何も面白くない。
笑えない。笑えない。
「人生、最期の言葉は、何がいいですか。」
「え?」
ケーキを切るために用意していたナイフを掴む。
許せない。本当に許せない。
こればっかりは、上官だとか関係なくー。
怒りに任せてナイフを振り上げた。
「ギャーーーーッ!!ごめぇぇぇぇええんッ!!」
「ごめんで済んだら、憲兵団はいらないんですッ!!」
慌ててモブリットさんが、ハンジさんを守った。
でも、振り下ろそうとした私の両腕は後ろからリヴァイ兵長に拘束されていてー。
「なんで、リヴァイ兵長が止めるんですか!?
ハンジさんを真っ二つにするくらいいいでしょう!?
私のティーカップの痛みをあの奇行種に味わわせなければ…!!!」
「いいわけねぇだろうが。」
「どうしてですか!?私の宝物が…!!」
「そんなもん、また買ってやる。くだらねぇことで騒ぐんじゃねぇ。」
リヴァイ兵長の飽きれた声が、私の頂点を知らない怒りの矛先を変えた。
宝物を真っ二つに割って、ヘラヘラ笑ったハンジさんへの怒りを忘れさせるくらいにー。