【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第112章 ◇第百十一話◇2人だけの幸せな物語をこれからも【恋の行方編】
ジーニー達は、憲兵団にその身柄を拘束された。
最後まで、自分は悪くないと訴え続けるジーニーの代わりに、エイクが全て白状したのだそうだ。
被験体殺しについてだけは、どうしても認めてはくれなかったようだが、憲兵はその事件についても彼女達が関わっているとして立件するつもりらしい。
衰弱しきった身体で雨に打たれた私は、高熱を出して2日間寝込んでしまったけれど、大きな怪我もなく命に別状はなかった。
あの凍えるような夜の中で、よく凍死しなかったと医療兵に笑われたくらいだ。
でもー。
(あの女の子…、誰だったんだろう。)
もしかしてー。
ベッドに横になる私の隣に座り、報告書の確認をしているリヴァイ兵長の横顔を見つめる。
もう二度と会えない、と一度は諦めた。
もう二度と会えないのだろうか、と絶望しそうになった。
でも、私は今、ここにいる。
愛おしい人の横顔を見つめることが出来ている。
奇跡だと、何度もハンジさん達に言われた。そして、それは、私が一番分かっている。
あのとき、教会で身を隠せたのも、それこそ凍死しなかったのも、奇跡だ。
テュランと別れてからすぐ、最後の力を振り絞ってなんとか巨人を1体倒した。
それが、本当に最後の力だった。
あの後、もう1体でも、私の前に巨人が現れれば、戦うことも出来ず死んでいたはずだ。
≪こっちだっ!≫
膝をつきそうな私に聞こえてきた、知らない男の人の声。
それが誰なのか、何なのかも分からないまま、私は導かれるようにその声を追いかけた。
≪もうちょっとだっ!頑張れっ!≫
倒れそうになる私の手を引いたあの女の子は、誰だったのだろう。
生きたいと叫ぶ心についていけない身体が、何度も何度も悲鳴を上げて、何度も何度も何度も諦めそうになった。
その度に、彼女は私の手を強く握った。
2人の声は、私に希望を、生きる気力を、捨てさせなかった。
≪俺達を信じろ!≫
≪アニキが来るまで一緒にいてやるからな!≫
私を迎えに来てくれた優しいテュランの背中に乗る力も残ってなかったくせに、何処からか足元に落ちてきた停留所の番号札を鞍に括りつけ、どうにかして生きるために必死にもがいた。