【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第111章 ◇第百十話◇ただひたすら、信じた【恋の行方編】
信煙弾が上がった方向へ、ハンジは全速力で馬を走らせた。
停留所のあたりばかり探していたが、どうやらは貴族の街を抜けてしまっていたようだ。
(生きてるよな…!)
いつの間にか夜の闇が訪れていた。
霧が晴れた空に上がる緑色の煙はが見つかったことは教えてくれるが、生死までは語ってくれない。
だから、その姿を見るまでは、安心することは出来なかった。
(ここかー!)
廃墟になった教会の前でリヴァイの馬を見つけた。
体力のないはずっとここで身を隠していたというわけかー。
馬から飛び降りたハンジの元へ、モブリットやナナバ達も集まってきた。
彼らもハンジと同じように馬から飛び降りて、教会の中へと走る。
壊れた長椅子が散乱した教会の中央を、天井に空いた穴から差し込む月の光が照らした。
柔らかい月の光の下で、はリヴァイの腕の中に包まれていた。
愛おしそうに頬を撫でられるは、瞳を閉じていて、遠くからではその生死を知ることは出来ない。
ハンジの記憶に、の部屋で見た絵本の最後のページが蘇ってる。
今の彼らは、あの絵の2人のようだった。
ニファは、とても悲しい結末だと言っていたけれど、結局、どんな結末なのだろう。
絵を見ただけで読んでいないから、分からないままだ。
ただ、とても悲しい絵だと感じた。
でも、今目の前にいる2人に、そんなことは感じない。
それは、あの騎士のように、リヴァイが泣いていないからだろうか。
リヴァイの腕の中でが安心しきったように眠っているからだろうか。
でも、ひとつだけ、分かることがある。
あの物語がどんなに悲しい結末を迎えていたのだとしても、リヴァイとの物語の結末とは、違うということだ。
リヴァイは騎士ではないし、はお姫様ではない。
彼らには、彼らの物語がある。
そしてそれはきっと、どんな困難が待ち構えていようとも、絶対に諦めないで立ち向かっていく勇敢な物語に違いない。
あの物語の2人のように、悲しい結末を迎えることはないー。
それだけは、絶対なんてないこの世界で、絶対だと信じてしまうくらい、想い合う2人の強さを感じたー。