【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第98章 ◇第九十七話◇悪魔との交渉【恋の行方編】
ルーカスは腕を組むと、自分より大きな窓に背中を預けて立ち、扉を見据えた。
次にその扉が開くとき、そこにがいる。
そう思うと、湧きあがってくるのは、喜びか、怒りか、殺意か。
もう自分でも分からない。
ただ、口の端は自然と上がっていく。
会いたいー、そう告げられた手紙が届いたときと似たような感情だ。
会いたい理由が、好意ではないことは分かっていた。
調査兵団が出した報告書からの名前が消えていたこと、まるでリヴァイ1人を悪者に仕立て上げようとしているようなモーリの犯行動機。
それだけ読めば、調査兵団が、いや、リヴァイが、何を守ろうとしているのかくらい嫌でも分かる。
それが気に入らなかった、すごく、死ぬほど、殺したいほどー。
あのとき、モーリが余計なことをしてくれたおかげで、リヴァイが廃工場に来ることになったのは想定外だった。
でも、自分の名前を呼ばなかったをリヴァイごと吹き飛ばす良いチャンスだとも思った。
それがー。
『私を殺してっ!!!!』
廃工場の様子を確認していた執事に聞く必要もなく、馬車の中にいても聞こえてきたの悲痛な声。
自分が殺されてでも守りたいほど、あの男が大切だというのか。
怒りや悔しさが蘇り、ルーカスは爪を噛む。
貴族の中でも特に力の強い家に生まれ、容姿端麗、頭脳明晰、子供の頃から、欲しいものは何でも手に入れてきた。
こんな屈辱、初めてだ。
手に入らないものが、この世に存在しているなんて許せない。
手に入らないのなら、消えてもらうしかない。
絶対に許さない。
いや、許さないこともない。
の、態度次第ではー。