【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第98章 ◇第九十七話◇悪魔との交渉【恋の行方編】
高価な装飾品ばかりが溢れ、必要以上に広い部屋。
そこら辺の貴族では着れないようなブランド服を身に着け、ソファに腰を降ろす。
見た目も豪華なソファは、座り心地も完璧だ。
広げた新聞には、今日も、憎い男の嘘か本当かも分からない黒い過去が面白おかしく語られている。
全て、計画通りだ。
それなのに、心は満たされない。
あの日、が突然、調査兵団の兵士になると言い出してからずっと、心に穴があいたみたいに、何をしても空虚でしかなかった。
まさか、そこまで惚れているとも思わず、代わりになるものを探す中、父親に頼まれて仕方なく出た世界最南端のど田舎で開かれるパーティー。
普段なら、なんだかんだと理由をつけて参加しないつまらないパーティーに参加したのは、きっと、どこかでに会えるかもしれないという期待があったからだろう。
そして、期待通り、の姿を見つけた。
その時、世界がまた色づいていくのを感じた。
彼女は自分の運命の相手なのだと、確信した。
それなのにー。
ルーカスは、新聞を握る手に力をこめる。
クシャリと歪んだ新聞記事の中で、リヴァイの似顔絵が一緒に歪んだ。
まるで怒りに顔を歪めるみたいにー。
本当に気に入らない。
「坊ちゃま、様がいらっしゃいました。
お連れしてもよろしいでしょうか。」
ノックされた扉から入ってきたのは、幼少のころからルーカスについてくれている執事だった。
白髪で細身の彼は、元々は父親の執事だった。
とても仕事が出来る信頼できる男だから、父親は大事な息子の第一執事に彼を選んだ。
どんな汚れ仕事だって、顔色変えずに引き受けてくれる素晴らしい執事なのだ。
「約束通り、1人でだろうな。」
立ち上がったルーカスは、新聞記事をデスクの上に置いた。
「はい、お手紙にあった通り、こちらに来るまでは上官の方と御一緒でしたが
お屋敷前で上官の方には馬車を降りて頂きました。」
「ならいい、連れてきてくれ。」
「かしこまりました。」
頭を下げ、執事が部屋を出て行った。