【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第96章 ◇第九十五話◇果たし状【恋の行方編】
背中が、部屋を出て行けと言っている。
正義感の強いハンジさんは、本当は誰より、真犯人を捕まえてやりたいと思っているはずなのにー。
「真相は、そのままでいいです。
だからお願いです、私をルーカスの元にー。」
「早く部屋を出て行きなさい。」
「絶対に迷惑をかけません。ちゃんと帰ってきます、だからー。」
「お願いだ、もう喋らないでくれ。
私は君を殴りつけて、ここに閉じ込めてしまう。」
「あぁ、それならーー。
心配しないでください、私にはコレがありますから。」
立体起動装置から引き抜き、私が伸ばした超硬質スチールがハンジさんの眼鏡のフレームをかする。
「確かに私は、ハンジさんよりも弱いかもしれない。
でも、無防備な状態の相手になら、勝てると思うんです。」
どうせ、頑なに断られることくらい、分かっていた。
ハンジさんは、誰よりも仲間想いで、正義感に溢れた人だ。
きっと、リヴァイ兵長の決断を、無下にするようなことはしない。
それに、上官達の会議で決まってしまったことを今さらどうにもできない。
その会議で何度も私の名前が口に出されたところで、どちらにしろ、下っ端の私の願いなど聞き入れてはもらえるはずもない。
だから、強行突破するつもりだった。
もしかしてー、そんな期待も、なかったわけでは、ないけれどー。
「上官を脅すとはいい度胸だね。
君もリヴァイと一緒に兵団を去るかい。」
ハンジさんは、背中を向けたままだった。