【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第90章 ◇第八十九話◇悪夢【恋の行方編】
虚しく空気を切ったリヴァイ兵長の手を、その誰かの代わりに握りしめる。
そして、何かから逃げるようにビクリと震えたリヴァイ兵長を、優しく包み込んだ。
そうしていると、リヴァイ兵長も少しずつ悪夢から目覚めていったようだった。
「あぁ…すまねぇ。久しぶりに、悪い夢を見た。」
リヴァイ兵長は、地獄を映した光景を消し去ろうとするように瞳を強く瞑り、私と繋いでいない方の手を額に乗せて、頭を支えた。
それは本当に、悪い夢、だったのだろうか。
ルルの夢を見て目が覚める私に似ていたから、なんとなく分かる。
リヴァイ兵長が、何を見たのか、誰に手を伸ばしたのかー。
「大丈夫ですよ。もう少し寝ますか?」
「いや…、起きる。」
「分かりました。じゃあ、夕飯貰ってきますね。」
そう言って、私はリヴァイ兵長から身体を離すと、繋いでいる手も離して立ち上がる。
すると、まるで縋るみたいに、リヴァイ兵長の手が私の手を捕まえた。