【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第85章 ◇第八十四話◇あなたが生きているだけで…【恋の行方編】
「っ!!
いたっ!!ハンジさんっ!!いましたっ!!こっちの小屋ですっ!!」
扉を開けたのは、モブリットさんだった。
一度後ろを振り向いて叫ぶと、扉の向こうから、いくつもの聞き覚えのある声も聞こえてきて、張りつめていた糸が切れたみたいに私から力が抜けていった。
「っ、無事かっ!?見つかって、よかっー。
って、えッ!?リヴァイ兵長っ!?」
駆け寄ってきたモブリットさんは、私の膝の上で息も絶え絶えのリヴァイ兵長に気づいて、目を丸くした。
「私を助けに来てくれたんですっ。
でも、私を守るために一方的に暴行を受けて…っ。
ここまで逃げてきたんですけど、さっきから意識がないんですっ。」
私は必死に説明した。
言葉は足りなかったと思うけれど、モブリットさんは瞬時に状況は把握してくれたようだった。
「医療兵士も一緒に来てる。すぐにリヴァイ兵長を診てもらうから安心しろ。
は?怪我はしてないのか?何か…、されなかったか?
俺に言いづらいなら、マレーネも来てる、ハンジさんでもいい。そっちにー。」
「私は何もされてません。リヴァイ兵長がひとりで…、全部…。」
「そうか。それなら、よかった。」
「よく、ないです…っ。」
「よかったんだよ。
君が無事なら、リヴァイ兵長が頑張った甲斐があるだろ?」
モブリットさんは、安心させるような優しい笑みを浮かべて、私の頭を撫でた。
そうしていると、続々と見覚えのある顔が小屋に入ってきた。
主に、私の所属するハンジ班のメンバーで、それから、仲の良いマレーネ、その他にも顔馴染みがいくつも、私を見つけて駆け寄ってきては、リヴァイ兵長に気づいて驚きの声を上げた。
「は、手首にすり傷があるだけのようだが、それより、リヴァイ兵長が問題だ。
重傷で意識不明。すぐに担架を用意してくれ。
その他は早馬での発見を他の班に報告だ。」
「はっ!」
モブリットさんの指示が飛び、医療兵士を残し、若い兵士達が小屋を飛び出していった。
それと入れ違いに、扉から転がるように走って入ってきたのはハンジさんだった。