【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第84章 ◇第八十三話◇愛しい騎士を悲劇から救って【恋の行方編】
廃屋の中に木霊するモーリの怒りで、耳が痛くなる。
「俺に恨みがあるんだろ。は関係ねぇ。今すぐ放せ。
俺がいくらでも相手になってやる。」
最初は相手にするつもりがなさそうだったリヴァイ兵長だったが、何かを感じ取ったのか、ギロリとモーリを睨みつけた。
「それじゃ、意味がねぇ。俺は兄貴を殺したてめぇに復讐がしてぇんだ。
最高にたぎる地獄をな、お前に味わってほしいんだ。」
冷たく言ったモーリは、膝を曲げて屈むと、拳銃の先をドレスの隙間に滑り込ませて、直に胸を強く押した。
思わず、痛みに顔を顰めるとリヴァイ兵長が、焦ったように私の名前を呼んだ。
それを見て、モーリは嬉しそうに口元を歪める。
「なかなかイイ女じゃねぇか。まさか、地上に出るだけに飽き足らず
調査兵団の兵士長様になって、こんないい女も囲えるようになってるなんてなぁ。
抱き心地もさぞかしいいんだろう?俺にも貸してくれよ。」
「気色悪ぃ目でを見るんじゃねぇ。」
「お前の大事なイザベルも、喋るとクソガキだったが、身体は女だったんだぜ?」
イザベルー。
その名前がモーリから発せられた途端、リヴァイ兵長が纏う空気の色が変わったように見えた。
怒りと憎しみ、悲しみ、いろんな感情が混ぜ合わさった炎を瞳の奥に静かに燃やして、怖い顔でモーリを睨みつける。
「黙れ。」
「具合もなかなか良くてよ。
初めてだったのか痛がって大変だったけどな。」
「黙れっつってんのが聞こえねぇのか。」
「数年もすれば、いい女になってたはずなのによ。
どうせなら、あと一回くらいヤらせてもらいたかったのに、
てめぇのせいでくっせぇ巨人の口の中で死んじまうなんて、可哀そうなー。」
「てめぇも殺してやる!!クソ野郎がぁあッ!!!」
リヴァイ兵長は、怒りに我を忘れたように見えた。
初めて見る怖い顔をして、怖い言葉を叫んだと思ったら、あっという間に目の前に来てモーリの顔を殴りつけようとしていた。
でもー。
「いいのか?てめぇが俺を殴れば、俺はこの引き金を引くぜ。」
モーリは自分を殴ろうとしているリヴァイ兵長をまっすぐに見据えた。