【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第83章 ◇第八十二話◇魔法の呪文を唱えて【恋の行方編】
命を懸けて仲間を守るリヴァイが、人を殺すー、そんなの信じられるわけがなかった。
想像も出来ない。
「地下街にもな、もちろん、地上に出るための階段がある。
だが、そこを上れるのは、通行料を払ったヤツだけなんだよ。それが地下街のルールだ。
それを破ったやつは罰を受けなきゃならねぇ。分かるだろう?」
「知らないわ、そんなの。」
「だろうな、お前みたいに、何も不幸を知らねぇでのうのうと生きてた人間には
考えられねぇ話だろうよ。だが、リヴァイといけすかねぇ澄ました野郎、
そして、リヴァイに金魚のふんみてぇにくっついてたガキは違ぇ。」
「…ガキ?」
「あぁ、イザベルつったかな。あのガキは勝手に階段を上ろうとしたんだ。
だから、俺達は罰を与えなきゃならなかった。仕方がなかったんだ。」
「仕方なく、子供に何をしたのよっ。」
「おいおい、小せぇ子供じゃねぇぜ?まぁ、胸はなかったが。
ちゃーんと身体は女だったからなぁ。クソガキみてぇなくせして
しっかりよがるからよ、なかなか具合もよかったんだよなぁ。」
モーリはそのときの情景を思い出したのか、恍惚の表情を浮かべた。
ゾクリー、身体に寒気が走った。
見たこともない少女の身体を弄ぶ悪い大人達の姿が脳裏に浮かんでしまって、私は頭に血が上った。
「あなた達、その子に何したのっ!?それでも人間っ!?」
「そんな怖ぇ顔すんなよ。綺麗な顔が台無しだぜ?
それによ、アレは俺達なりの正義だったんだよ。」
「何が正義よ!!そんなの…っ!!」
怒りで頭も心も支配された私だったけれど、あまりに惨い話に投げつける言葉さえ出なかった。