【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第83章 ◇第八十二話◇魔法の呪文を唱えて【恋の行方編】
「リヴァイ兵長は人を殺したりしないわ。」
キッと睨みつけて言い切った私に、モーリは度肝を抜かれたような、驚いた顔をした。
それから、すぐに、おかしそうに口元を歪め、嫌な笑い声をあげた。
「自分の女の前じゃ、どんな顔してるか知らねぇが、
アイツは平気で人を殺せる男だぜ?」
「違うっ!あなた達と違って、リヴァイ兵長は、人の命を大切に出来る人よ!」
「まぁ、聞け。あの男の本性を俺が教えてやるからよ。」
「何を言ったって、無駄よ。
私は、リヴァイ兵長の言葉しか信じない。」
「哀れな女だな。洗脳でもされてんのか。」
モーリは、呆れたように言うと、さっきまで座っていたソファにまたドカッと腰を降ろした。
そして、威張った態度で私を見下ろして、昔話を始めるー。
「お前の大好きなリヴァイ兵長ってのはなぁ、
都市の地下街でそれはそれは有名なゴロツキだったんだ。
悪~いことばっかりしては、俺達、地下街で暮らす人間を困らせてたんだぜ?」
「…生きるためでしょ。」
「んー、まぁ、それはそうだな。間違ってはいねぇ。
だから、俺の兄貴だって、間違ってはいねぇ。
それなのに、あの男は兄貴も仲間も殺しやがった。」
「だから、信じないって言ってるでしょ。」
またその話かー、私は呆れたように言って冷たく突き放した。