【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第12章 ◇第十一話◇訓練【調査兵団入団編】
「これはどういうことでしょう。」
あの日、一緒にの戦闘を見ていたモブリットもただただ呆然としていた。
「調査兵団の入団テストに落ちたくて手を抜いているんでしょうか?」
「それならまだマシなんだけどね。」
もしそうだとすれば、しっかりしないと家族をまた外地に戻すぞと脅せば済む話だ。
には悪いが、そういう筋書きも頭に入れた上で、今日、の家族の内地移住計画を進めてきたところだ。
速やかに、という彼女の希望を叶えるため、今日と明日で引っ越し準備を済ませ、明後日には内地移住が完了していることになっている。
だから、もしも彼女が入団テストを落ちたいがために手を抜いているのならば、家族の内地移住計画を即刻中止にすると言えば、とりあえずの解決は出来るだろう。
だが、どう見ても、彼女は大真面目だ。
大真面目に訓練を受けて、大真面目にありえないミスを連発している。
基礎がなっていないどころではない。
そもそもの素質がない。それも、天才的に。
「ゲルガー、チャンジ!!もう、やってられない!!」
「はい、はい。了解。
じゃ、今からおれの相棒にこってり怒られてくださいよ、ハンジ分隊長。」
「え…!?」
「ちょっと!ハンジ!!」
ブチ切れているナナバが怒りながらやってきた。
普段温厚な人間ほど怒ると怖いとはよく言ったものだ。
その通りだ。
今のハンジには、巨人よりも怒りモードのナナバの方が怖い。怖い。
「あの子、何なの!?逸材だから、訓練なんて基本を叩きこめば、
あとは、生きて帰るってことを教えてやればいいって、言わなかったっけ?
そう言わなかったっけ!!!!」
「…言いました。」
「そもそもハンジはいつも―。」
すごい剣幕のナナバの怒りを右から左に聞き流しながら、ハンジはどうしてこんなことになったのか頭を巡らせる。
あのときのには希望が見えた。なのに、今のには絶望しかない。
何が違う。あのときの彼女にあって、今の彼女にはないもの―。