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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第81章 ◇第八十話◇闇に紛れて消える馬車【恋の行方編】


安全運転よりもスピードを重視された馬車は、さっきから左右に揺れながら、最高速度で兵舎に戻っているようだった。
爆弾騒ぎの雑踏から抜けた馬車の窓から見える景色は、あっという間に寂しい夜の街へと変わっていた。

(みんな…、無事でありますように。)

窓の外を眺めながら、私はひたすら願った。
崩れていたロビーの下から流れ出る血の記憶が、不安を煽る。
1回目の爆発は会場の中からだったはずだ。
だから、たぶん、2回目の爆発がロビーなんじゃないかと思っている。
あのとき、調査兵団の兵士達は既に誘導を始めていた。ロビーにも何人もいたはずだ。
ということは、あの爆発に巻き込まれていた可能性が高いー。
会場の受付で見かけたジャンのことも心配だった。
その奥が爆発の起きたロビーだった。巻き込まれていなければいい。

「リヴァイ兵長は本当に兵舎に戻ってしまったんですか?」

どうしても信じられなくて、何度目かの確認をした。
だって、リヴァイ兵長が私を連れて逃げようとしたのはロビーとは反対方向だった。
それに、冷たいように見えて誰よりも仲間想いのリヴァイ兵長が、爆弾騒ぎの中に調査兵を残して自分だけ兵舎に戻るなんて、彼らしくない。
だがー。

「巨人相手じゃないどうでもいい仕事は、俺達に任せるってよ。
 偉いと恋人連れてパーティー出かけたり、
 マズいことがあれば、すぐに逃げられるんだからいいよな。」

金髪の若い調査兵が言うと、茶髪の調査兵達も同調して非難し始める。
下っ端は働かされるばかりで割に合わないー。
そればかりが繰り返されて、嫌になって私はまた窓の外を眺め出す。
馬車に乗ってから、彼らの名前を教えてもらったけれど、聞き覚えはなかった。
調査兵団の兵士、全員を把握しているわけじゃない。
顔に見覚えだけはあったから、少なくとも兵舎ですれ違うくらいはしたことがあるのだろう。

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