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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第80章 ◇第七十九話◇廻りだす運命の歯車【恋の行方編】


爆発に巻き込まれまいと、周辺の住民まで家から出て逃げだしてしまったから、会場のまわりは見渡す限り人で溢れていた。
貴族も巻き込んだ爆弾騒ぎを聞きつけ、近隣に駐在していた憲兵も少しずつ集まりだしているようだった。
ただちにを探し出せー。
そんな緊迫した指令が届いてから、まだ数分しか経っていないはずだ。
それなのに、急がないと今すぐにでも手遅れになってしまうような、漠然とした不安がジャンを必要以上に焦らせていた。

(クソッ、どういうことだよ…!)

拳を握り、忙しなく左右に動く瞳に怒りと不安を揺らし、ジャンは人の群れの中から必死にの姿を探す。

『爆弾は目くらましにすぎん。
何かしらのかたちで必ずが狙われる。
お前達は、の周りで不審な動きがないか注意しておいてくれ。』

最初の爆弾騒ぎが起きた日の夜、酔い覚ましに宿舎を歩き回っていたジャンは、人気の少ない廊下の端で、分隊長のミケが数名の精鋭兵達にそんな指示を出しているのをたまたま聞いてしまった。
の元婚約者の王子様が関係しているようなことを言っていたが、なぜそんなことになっているのかまでは聞こえてこなかった。
ただ分かったのは、大切な人の命が危ないということー。
それだけ分かれば、これからどうすべきかなんて決まっていた。
だからー。

「無事でいてくれ…!」

願をかけるように、敢えて口に出した。
その途端、むしろ不安は色を濃くして、胸の中を支配し始める。
今夜のパーティーに、爆弾騒ぎの担当調査兵達だけではなく精鋭兵までもが警備に入ると聞いたとき、嫌な予感はしたのだ。
何か悪いことが起こるような、それはを傷つけるようなー。
そしてそれは、パーティー会場での姿を見つけた時、確信に変わった。
あのときもっとちゃんと反対していたらー。
押し寄せてくる後悔は、視界の奥に見つけた男への怒りへとかたちを変えるー。
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