【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第78章 ◇第七十七話◇絵本の世界へようこそ【恋の行方編】
「…ごめんなさい。ありがとう。」
私の手の甲から、ルーカスの唇が離れる。
ルーカスは、変わらない優しい微笑みを私に向けてからそっと手を放した。
そして、リヴァイ兵長の方を見て、困った顔をした。
「そんなに怖い顔で睨まないでくれよ。これはただの挨拶だよ。」
「あぁ、そうか。
もう二度と、挨拶はいらねぇ。覚えとけ。」
リヴァイ兵長は不機嫌そうに言って、私の肩を抱き、自分の方に引き寄せた。
まるで、悪い敵でも相手にしているかのようなリヴァイ兵長の態度に、私は違和感を覚えた。
だって、確かに、ルーカスは、私に結婚して調査兵団を辞めることを望んだ。
でも、それは、私がちゃんと別れの言葉も言わずに調査兵団に入団したせいだし、ルーカスは、それでも私のことを愛してくれていた心の広い優しい人だ。
決して、悪い人ではないのにー。
「調査兵団の兵士長が恋人を連れてきていると聞いて、
少しでも顔が見られたらと思っただけなんだよ。
君の恋人を強引に奪うような野蛮な真似はしないから心配しないで。」
ルーカスは立ち上がると、苦笑交じりに言う。
それをリヴァイ兵長は、信じてもいなさそうな顔で睨み上げていた。