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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第78章 ◇第七十七話◇絵本の世界へようこそ【恋の行方編】


迷わずに私を連れて行ったのは壁際に置いてあったソファだった。
私をソファに座らせてから、リヴァイ兵長も隣に腰をおろした。

「そんな靴じゃ歩くのも痛ぇだろ。」
「ありがとうございます…。」

躊躇いがちに、礼を言う。
膝の上に乗せた自分の手を見下ろしながら、数日前の光景を思い出していた。
嫌いだーリヴァイ兵長にそんな言葉を投げ捨ててから、まだ数日しか経っていない。
あれからずっと顔も合わせていなくて、いきなりパーティーに参加させられることになった上、リヴァイ兵長とは恋人同士のフリをさせられてー。
しかも、リヴァイ兵長が凄く優しいー。
全部、演技なのだろうか。
リヴァイ兵長は演技なんて得意じゃなさそうなのに、恋人に対してはこんな風になるということなのだろうか。
それともー。

『他の女ならそれでいい。お前に誤解されるのは気に入らねぇ。』

リヴァイ兵長が階段で言った言葉が頭の中をグルグル回っている。
あの言葉の意味を、聞いてみたい。
でも、怖いー。

「リヴァイ兵長、さっきのー。」
「、久しぶりだね。」

勇気を振り絞って出した声は、優しい声にかき消された。
やっぱり、エルヴィン団長の言っていた通り、ルーカスはこのパーティに参加していたらしい。
王都に住む貴族がなぜ―とも思ったけれど、このパーティーの開催者が王都の貴族らしい。

「ルーカス…。」

あの日の悲しそうなルーカスの瞳と声が蘇り、私は何と言えばいいか分からなくなる。
でも、ルーカスは優しく微笑んだ。

「そんな顔しないで、僕はもう大丈夫だから。
 こんなカタチだけれど、君に会えて嬉しいよ。」

ルーカスはそう言うと、ソファに座る私と目線が合うように跪き、私の手の甲にキスを落とす。
近くで彼の姿を見ていた貴族の女の子達が、小さな悲鳴を上げたのが聞こえた。
王子様を見つめる女の子達の瞳がハートのカタチに見えるのも久しぶりだ。
懐かしい嫉妬の混ざった痛い視線を感じながら、ストヘス区での彼の周りには、いつも綺麗で可愛らしい女性が囲んでいたのを思い出す。
このパーティーでも、ルーカスは王子様のようだ。

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