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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第71章 ◇第七十話◇幸せを握り潰す君の手を愛したから【恋の行方編】


豪華な装飾品が欲しいわけじゃない。
安全な内地に暮らしたいわけじゃない。
何でも願いを叶えてくれる優しい王子様がいいわけでもない。
私はただー。

「好きな人のそばにいられるなら、どんな地獄でもいいの。
 私は、誰かの為とか、優しさでここを選んだんじゃない。
 私の好きな人がここにいるから、私はここに残るだけ。」
「本当にそれでいいの?死が迫ったとき、君は今の決断を悔いることになるよ。」
「ごめんね、ルーカス。でも、私は大丈夫なの。
 だって、どこを探しても巨人の脅威に晒されている恐ろしく残酷なこの世界で、
 人類最強の兵士の隣は、私が知る最も安全な場所だもの。」

リヴァイ兵長の手は温かくて、どうしたって、私はこの手を放せない。
それなら、私は人類最強の兵士の隣で死ぬまで戦いたい。
巨人とも、この世界とも、苦しいくらいのこの想いともー。

「…そう。君がそう望むのなら、仕方ないね。」

ルーカスの目が沈んで、私から離れた。
痛い、胸が痛い。
彼の腕の中に飛び込めたのなら、きっと、誰も傷つけなかったのだと思う。
エルヴィン団長達は、兵士の自由だと思っているみたいだし、リヴァイ兵長が私を本気で引き留めるとも思えない。
どうして私はー。
傷ついたルーカスの顔を見て、早速、後悔しそうだった私は、目を伏せて唇を噛んだ。
そんな私の頭を、誰かが優しく撫でる。
この手の感触は、知っている。
綺麗で長くて、優しくて、愛おしそうにいつも私の頭を撫でてくれた世界一素敵な王子様の手だー。

「でも、僕は信じてるよ。君を幸せに出来るのは僕だ。
 彼らは、君を危険な目に合わせて、傷つけることしかできない。」

ゼッタイニー。
耳元に氷が触れたようなひんやりした感覚を覚えて、私はビクッと肩を揺らし、思わず顔を上げた。
でも、そこにあったのは、私の知る王子様の優しい微笑みだったー。
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