【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第71章 ◇第七十話◇幸せを握り潰す君の手を愛したから【恋の行方編】
ルーカスはいくつか、勘違いをしている。
私は賢くないし、むしろ愚かで、どうしようもない悪い女だ。
ルーカスに愛してもらう資格なんて、初めからなかったのだ。
そしてー。
「そんな悪い男に騙されたらいけない。
君をこんな狭い場所に閉じ込めて、
世界で最も危険な場所に連れて行くような男じゃないか。」
「違うよ、ルーカス。」
「何が違うんだよ。」
ルーカスは呆れたようにため息を吐いた。
「リヴァイ兵長は、壁の中の狭い世界で狭い価値観しか持てなかった私を
とても広い世界に連れて行ってくれたわ。」
「それは素晴らしいね。
ところで、そこには巨人とか言う恐ろしい生き物がいて、君を食べようとしなかったかい?」
「ねぇ、ルーカス、お願い、分かってほしいの。」
「何を分かればいいんだい?
僕には、君が最悪な道を選ぼうとしていることしかわからないよ。」
駄々をこねる子供を相手にしている大人みたいに、ルーカスは小さく首を振った。
もしかしたら、本当に私はただ駄々をこねているだけなのかもしれない。
ただ、好きな人と一緒にいたいからってだけで、命を懸けようとしているのだからー。
私はリヴァイ兵長の手を握る手に力を込めた。すると、応えるように私の手を握るリヴァイ兵長の手にも力が入った。
よかったー。
私はもう、これだけで大丈夫。
どこにだって行ける。どんな地獄だって、生きていける。
結婚なんて出来なくても、恋人になれなくても、ただの部下にさえなりきれなくても。
私は、人生を捧げる価値のある人を見つけたのだと、信じてるー。
そうじゃないと、ルーカスみたいに素敵な人に、別れの言葉なんて言えない。
だから、別れても一途な愛を持っていてくれたルーカスに、私は誠意ある対応をとらないといけない。
姑息な嘘なんて、もう吐いたらいけない。
真実を、私の本当の気持ちをー。