【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第10章 ◇第九話◇震える背中の覚悟【調査兵団入団編】
これから、エレン・イェーガーの存在で壁の中はさらに殺伐、混沌とした世界へとなるだろう。
それは、エレンの身柄の引き受けを望む調査兵団も同じだ。
エレンが調査兵団の兵士となったら、調査兵団の兵士達はきっと普通ではいられなくなる。
そのとき、彼女の優しい戦い方が、そんな彼らの心に何かを残すような、そんな気がして止まないのだ。
「ハンジ、彼女かい?あなたが見つけてきた逸材ってのは。」
訓練の指導にあたっていたナナバとゲルガーが、こちらに気づいてやってきた。
休憩の時間になったようだ。
「あぁ、今エルヴィンへの挨拶と今後の流れについての説明を受けてきたところなんだ。」
「へ~、どんなムキムキな女を連れてくるのかと思ってたら、
なかなかの美人じゃねぇか。兵士にするにはもったいねぇ。」
「これでなかなかの腕前なんだよ。」
「そりゃ楽しみだな。」
ナナバとゲルガーにを紹介する。
今度こそ、ちゃんと左胸に心臓がある敬礼ポーズをしてくれて、ホッとする。
間違えてくれたらそれはそれで面白、じゃなくて可愛いからよかったのだけれど。
「私の名前はナナバ。そっちにいるのがゲルガーだ。
よろしくな。」
「一応、場数だけは踏んでるからな。
何かあったらいつでもおれ達を頼ってくれ。」
「の訓練の指導は主に彼らにやってもらう予定なんだ。
これから特にお世話になる2人だよ。」
「はい、よろしくお願いします。」
は、礼儀正しいお辞儀をした。
ナナバとゲルガーには不機嫌な態度は全くとらないから、彼女にとっての敵認定は、巨人と、それから、調査兵団に引き込んだハンジとエルヴィンとリヴァイの3人なのだろう。
それにしても、こういうとき、兵士は敬礼をするのだけれど、昨日まで一般市民だった彼女にはまだ浸透していないらしい。
(まぁ、それも仕方ないか。)
ハンジは、ナナバとゲルガーと顔を見合わせ、苦笑する。
「さっ、今日は疲れただろう?
訓練は明日からにして、私と巨人談議に花を咲かせないかい?」
ハンジは最高の提案だと思ったのだが、露骨に嫌な顔をされてしまった。
なぜだろう。彼女とは仲良くなれそうな気がする。