【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第71章 ◇第七十話◇幸せを握り潰す君の手を愛したから【恋の行方編】
「ルーカスが、送ってくれたんですか?」
目をこすりながら、身体を起こす。
草原で嬉しそうに走り回るテュランを眺めていたら眠たくなってしまって、それでー。
そこから、記憶が途切れている。
「アイツが送ってきたのはテュランだけだ。」
「ん?私は…?あれ、なんでリヴァイ兵長がいるんですか?」
「エルヴィンに頼まれてウォール・ローゼの有力者の屋敷に行った帰り、
テュランが俺の乗った馬車に走ってきた。
いや、あれは激突だった。俺はアイツの頭が心配だ。」
「テュランが?すごいですね、リヴァイ兵長のこと分かったのかな。
きっと会いたかったんですよ。許してあげてください。」
あまり人に懐かないテュランだけれど、林檎をたらふく食べさせてもらったあの日から、リヴァイ兵長を見ると瞳を輝かせていた。
もしかしたら、また林檎がもらえると思ったのかもしれない。
可笑しくてクスクス笑う私だったけれど、リヴァイ兵長の表情はどこか浮かない。
「どうかしました?」
「いや。それから、テュランがお前のところに俺を引っ張るから
寝てるお前を見つけて、馬車に乗せて帰ってきただけだ。
テュランも馬車に勝手についてくるからいいと言ったんだが、アイツが乗ってここまで連れてきた。」
「そうだったんですね…。すみません。」
「帰るついでだ、俺は構わねぇ。」
リヴァイ兵長はそれだけ言うと、立ち上がった。
部屋を出て行こうとしているようだったので、私は急いで引き留めた。
「リヴァイ兵長、お願いがあるんです…っ!」
リヴァイ兵長が、ゆっくり振り返った。
私は息を飲み、深呼吸をしてから口を開いた。