【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第68章 ◇第六十七話◇シュトレンと恋心【恋の行方編】
「甘い…。」
一口齧ると、甘さが口の中いっぱいに広がった。
砂糖で出来てるんじゃないかというくらい甘すぎる。
ドライフルーツの必要以上に弾力のある食感と甘酸っぱさがなければ、いくら甘いものが好きでも一個をひとりで完食することは出来なかったかもしれない。
「ねぇ。」
ソファに腰をおろしたペトラに、私は声をかけた。
「ん?」
「ただの上司と部下って、何だろう。」
訊ねてから、私はまた一口シュトレンを頬張る。
やっぱり、甘すぎる。
今日、買ったお菓子ももしかして、こんなに必要以上に甘いのだろうか。
もし、そうだったらどうしよう。
「リヴァイ兵長と何かあったの?」
「ううん、何もないよ。普通におつかいに行って、リヴァイ兵長に
変なものを買わないか監視されて、ちゃんと出来たからって
ご褒美貰っただけ。」
「じゃあ、それがただの上司と部下なんじゃない?」
「そう、なのかな…?もう、分かんなくなっちゃった…。」
食べかけのシュトレンを見つめながら、私は呟くように気持ちを吐き出した。
何とも思っていない私は、リヴァイ兵長とどんな風に話していたんだっけ。
どんな風に触れていたんだっけ。
どんな風に、私はリヴァイ兵長に恋をしてしまったんだっけー。
「ひとつ言えるのはさ。」
「うん。」
「普通のただの上司と部下は、
自分達のことを、わざわざただの上司と部下とは言わないってことかな。」
「ハハ、それもそうだね。」
私の渇いた笑いが、床に吸い込まれて消えた。