【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第67章 ◇第六十六話◇ただの上司と部下【恋の行方編】
「本当にそれで後悔しないって言えるの?」
強い瞳が、私の意思を訊ねる。
ルルもこの強い瞳を持っていたっけ。
そして、私も欲しい―と思ったのだ。
強く行きたい、堂々と生きたい、そして、勇敢な兵士の隣に立てるようになりたい。
そう思って、私はここにいるはずなのにー。
「後悔…、するよ…っ。でも、じゃあ、どうしたらよかったの…?
無視されるよりツラいことなんて…っ、私は知らないのに…っ。」
震える声と頬を伝う涙を隠したくて、私は枕を顔に押し当てた。
分かっている。
自分でも分かっていた。
たぶん、私は間違ってる。
ペトラやルルみたいに強くありたいのなら、もっと堂々としてるべきだった。
そうしていればもしかしたら、時間はかかっても、ただの上司と部下に戻れたかもしれない。
でも、もうあんな残酷な時間が続くのは耐えられなかった。
逃げ出したくて仕方なかった。
だから、私はミケ分隊長からもらったチャンスを卑怯な手段に使った。
分かってる。私はきっと間違った。
だって、お願いして戻った『ただの上司と部下』なんて、偽物以外の何物でもない。
それはもう、私が戻りたかった私とリヴァイ兵長ではない。
知っている。そんなこと分かっていたけれど、でもー。
「ほんと、バカだよ。」
ペトラが私を抱きしめる。
優しくて柔らかい温もりが私を包み込んだ。
「も、リヴァイ兵長も、バカだ。」
「リヴァイ兵長はバカじゃないでしょ、優しいだけだよ。」
困ったように私が言っても、ペトラは、私もリヴァイ兵長も2人してバカなのだと譲らない。
それに、そんなことを言うペトラの声まで震えていて、私は本当に素敵な友人を持ったのだなと嬉しくもなる。