【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第66章 ◇第六十五話◇ブランケットの恋よ、さようなら【恋の行方編】
久しぶりに、私を見たリヴァイ兵長は、とても悲痛な表情をしていた。
本当は、こちらを向くつもりはなかったのだろうか。
上司と部下という関係になんて、戻りたくなかったのだろうか。
それでも、私はー。
リヴァイ兵長がこっちを向いてくれた。
だから、私はー。
「よか、…た、ぁ…。」
安心した私の瞳からは、今まで必死に堪えていた涙が、いろんな感情と共に一気に溢れ出した。
きっと、立ち去ってしまうのだろうと思っていた。
ひとりきりの図書室でリヴァイ兵長へ言う言葉を考えながらも、立ち去っていく後ろ姿ばかりを想像してしまって、とてもツラかった。
でも、リヴァイ兵長は、こっちを向いてくれた。
それが、優しさでも、哀れみでも、もうなんでもいい。
私がもう二度と、リヴァイ兵長に迷惑をかけないようにすればいい。
優しいリヴァイ兵長が出した答えを、後悔させないように、私が少しだけ、無理をすればいいだけだ。
だから、泣いたらいけないと、私は両手の甲で必死に涙を拭った。
「ご、ごめんなさ…っ。すぐ、泣き止みます、から…っ。」
必死に涙を拭いながら謝っている私の滲む視界に、リヴァイ兵長が歩み寄ってくるのが見えた。
途端に、焦りと不安に襲われる。
何か言われるー。
そういうつもりで振り向いたんじゃないと謝られるのかもしれない。
『すまない。』
あのとき聞いたリヴァイ兵長の低い声が蘇って、私はさらに必死に涙を拭う。
必死に謝る。
すぐに泣き止むから、だから行かないで。
もうどこにも、行かないでー。