【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第66章 ◇第六十五話◇ブランケットの恋よ、さようなら【恋の行方編】
「悪かった。」
想像していたリヴァイ兵長の台詞に似ていて、怯えた私の肩にそっと触れた指先の温もり。
躊躇いがたちにそっと、座ったままで私の身体が引き寄せられて、甘くて苦い紅茶の香りに包まれた。
「泣きたきゃ、泣け。そして、俺みてぇな男、さっさと忘れちまえ。」
私の頭を抱えるように触れて自分の身体に押し付けるから、リヴァイ兵長の匂いが鼻の奥をツンとさせて、私はギュッと目を瞑った。
痛い。胸が痛い、すごくー。
それなのに、リヴァイ兵長はー。
「今だけ、今だけだ。今だけ…。」
今だけだ、と繰り返しながら私を抱きしめる。
ギュッと、強く、ギュッと、痛いくらに優しい温もりを残したままで。
あぁ、本当にひどい男だと思いながら、縋ることをやめられず、私はリヴァイ兵長の背中に手をまわす。
気まぐれでくれる今だけの優しさなら要らないとあれほど苦しんだのにー。
それならいっそ、立ち上がれないほどに傷つけられた方がどれだけ楽だろうかとあれほど泣いたのにー。
その夜、私は涙が枯れるまで縋り泣いた。
さようなら、苦しいくらいにリヴァイ兵長を想って、泣いて、笑って、そして、悲劇にも喜劇にもならなかった私だけの恋ー。