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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第10章 ◇第九話◇震える背中の覚悟【調査兵団入団編】


エルヴィンの部屋に案内されたは、慣れない敬礼で人類に心臓を捧げることを誓っていた。
兵士とは全く違う世界で生きてきて、訓練なんてしたこともない彼女の華奢で小さな背中は僅かに震えていて、今にも逃げ出したいと悲鳴を上げているように見えた。
でも、彼女は逃げなかった。
自分のことを、弱い、と言っていたが、ハンジにはそうは見えない。
今まさに、恐怖に震えながらも、あのエルヴィンの前で物怖じせずにまっすぐに立つ彼女を、誰が弱いだなんて言えるだろう。
少なくとも、ハンジもエルヴィンも、リヴァイでさえも、彼女の強さを知っている。
それは、力の話ではなくて、芯の強さであって、巨人討伐を主な仕事としている調査兵団にとって一番大切なことだ。
彼女には悪いが、自分の見立ては間違ってはなかった、ハンジはそう思っている。

「こちらから勧誘しておいて申し訳ないが、君にはまだ調査兵になってもらうわけにはいかない。」
「え?どういうことですか?」
「ハンジから君の戦いぶりについては聞いている。
 ピクシス司令も君の巨人討伐を見ていたようで、素晴らしかったと褒めていたよ。」
「…そうですか。」

全く嬉しくない―。
投げやりな言い方。
顔を見なくても、思いっきり背中から不機嫌なオーラが滲み出ていて、ハンジは笑い出しそうになるのをなんとか堪える。
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