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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第9章 ◇第八話◇地獄の門へようこそ【調査兵団入団編】


ハンジさんは、私の命のことを軽く見ているわけじゃない。
調査兵団の兵士達全員、そして、人類の命の方が重いと考えただけだ。
それに、結局は、家族のためだと覚悟して調査兵団への入団を決めたのは私なのだ。
少ない荷物を片付けるのはあっという間に終わり、私は、ハンジさんが持ってきてくれた制服に着替えて部屋を出た。
駐屯兵の制服と同じで、紋章が薔薇から自由の翼に変わっただけ。
それなのに、なぜかとても重たくて、自分の命が軽くなったような気がした。
ハンジさんに連れられた私がまず向かったのは、兵舎内にある仕立て屋だった。そこで、身体の採寸を測った。制服は大体1週間ほどで出来上がるそうだ。
今着ている制服でも構わないと思ったが、身体を動かすのが仕事だから出来る限り身体にピッタリのサイズの制服を着た方がいいらしい。
そして、仕立て屋を出た私は、エルヴィン団長の執務室に案内されている。

「ねぇ。」

私に責められてから口数が少なくなっていたハンジさんが、突然話しかけてきた。

「何ですか。」
「ご両親にはさ、言った方がいいと思うんだ。もちろん、君の自由だけど…。」
「…。」
「君の気持ちもわかるよ。ご両親は驚くだろうし、ショックかもしれない。」
「分かってるなら、放っておいてください。」
「でも!」

ハンジさんは急に大きな声を出して立ち止まると、私の両腕を握って自分の方に向かせた。
そして、あのまっすぐな瞳で私を見て続けた。

「突然、わけもわからないまま永遠に娘と別れることになるよりは、マシだ。」

もちろん、自分達は命を懸けて仲間を守るけれど、それが出来ない状況なんていくらでもある。
だから、約束は出来ないとかなんとか言い訳も続いたけれど、ハンジさんが言いたいことはよくわかった。
私の心配だけではなく、私の家族の心の心配もしてくれているんだろう。
それなら―。

「それなら、お願いがあります。」
「あぁ、言ってくれ。何でも聞くよ。」
「私の両親には、私が調査兵団に入団したことを絶対に言わないでください。」
「…それでいいの?」
「私を調査兵団の誰かすごく偉い人と結婚させてください。」
「…は?え?は?」

凄く真面目な目をしていて、なぜかとても悲しそうだったハンジさんが一瞬でパニックになった顔が、少しだけ可愛かった。


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