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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第2章 ◇第一話◇悪夢の再来【調査兵団入団編】


大きな轟音が響いたと思ったら、目の前が真っ黒になった。
爆風に飛ばされた身体の痛みを感じながら、ゆっくりと起き上がる。
砂埃で覆われた視界が次第に開けてきても現状を把握できなかった。
さっきまでいたはずの事務所は大きな岩に押しつぶされている。
まさか、上からこんなに大きな岩が降ってきたというのか―。
空を見上げてみれば、いつも通りの青い空が広がっているだけだ。
いつもと違うのは、ここが、いつもなら天井が見えるだけのはずの事務所の中であることと、人々の悲鳴が響いていることだ。

「壁が…!壁が壊された!!また巨人が入ってくる!!」

上司の焦った声で、私はようやく事態を把握した。
ハッとして周りを見渡しながら、友人の名前を呼んだ。

「ヒルラ!逃げなきゃ!!内門に行けば―…。」

友人の姿を探しながら、ヒルラがいたはずの場所を見て息を呑んだ。
大きな岩の下から見えている白く細い腕、それは何だろう。
その赤い液体は、人間のものか。
では、指の先の爪を染める赤いものも血に違いない。
きっと、マニキュアではない。
だって、もしそれがマニキュアだとしたら、その白く細い腕の持ち主なんて、私は1人しか知らない。
いやだ―、そんなことあってほしくない。あってはならない―!

「おい!、すぐに巨人が来る!逃げるぞ!」
「で、でも…!ヒルラが!!助けなきゃ!!
 あ、そうだ!!一緒に岩を動かしてください!じゃないと、ヒルラが逃げれません!」

私の腕を引っぱって逃げようとする先輩に必死に懇願した。
でも、先輩はヒルラの腕を見て、驚いた顔をした後に、すぐに逃げるように目を反らした。
何も言わず、先輩は私の腕を引いて無理やり走らせる。
まるで、ヒルラを逃がそうと言った私の話なんて聞こえてなかったみたいに、血まみれの腕なんて目に入らなかったみたいに。
そして、私も、一度だけ、ヒルラだったはずのそれを振り返って、先輩に腕を引かれながら、内門へと必死に走った。
ヒルラのことを見て見ぬふりをした先輩を誰が責められるのか。
走る横顔に涙が伝っているのが見えたのに。
密かにヒルラに恋をしていた彼を、どうやって責めればよかったのだろう。
助けて逃げると言っておきながら、自分を無理やり引っ張って内門へと走ってくれた先輩の判断に、誰よりもホッとした私なのに——。
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