【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第64章 ◇第六十三話◇雲を払う【恋の行方編】
「リヴァイ兵長。」
ペトラは、会議室を出て行こうと立ち上がったリヴァイに声をかけた。
「なんだ。」
会議室の扉へ向かいながら、リヴァイが答える。
その隣に並んで、ペトラは続けた。
「を追いかけてあげてください。
ルルと一緒に頑張って捕まえた巨人を殺されただけでもツラいのに、
はきっと自分のことを責めてます。」
「お前が行ってやれ。」
「どうしてですか。きっとはー。」
会議室の扉近くで話していたペトラの肩に誰かがドンッとぶつかった。
驚いて顔を上げると、ジャンと目があった。
「すみませんっ!」
「ううん、こんなとこで喋ってたら邪魔だったね。ごめんね。」
「いえっ、お疲れさまでしたっ!」
ジャンはそれだけ言って、手短に頭を下げると慌てた様子で会議室を飛び出していった。
そして、彼が走って追いかけた先には寂しそうに歩くの背中があった。
「さんっ!!」
廊下の向こうから、会議室を出たばかりのペトラとリヴァイにも聞こえるような声で、ジャンがの名前を呼んだ。
思わず立ち止まって見ると、振り返ったに追いついたジャンが何かを話しかけている。
「リヴァイ兵長、私、他に好きな人が出来たんです。」
ペトラの思いがけない告白にリヴァイは驚いたようでほんの僅かに目を見開いた。
そして、ゆっくりとペトラの方を見ると「そうか。」とだけ呟いた。
「今さら、逃した女が惜しくなったってもう遅いですよ。
いい女っていうのは、いつだって他の男に狙われてるんです。
横から掻っ攫われてから後悔したって、私は知りませんから。」
私はルルの分までの味方でいると決めたんですー。
ペトラが、リヴァイにそう宣言した向こうで、真っ赤な顔したジャンがの頭を撫でる。
驚いた顔をしたは、困ったような顔で、でも嬉しそうな笑みを見せた。
さっきまでの張りつめた空気の彼女はもういない。
ぎこちないけれど、彼女を笑顔にしたのは、リヴァイじゃない。