【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第64章 ◇第六十三話◇雲を払う【恋の行方編】
でも、ペトラは、誰が犯人か、そればかり考えていて、理由については置いてきぼりだったことに、気が付いた。
エルヴィンやハンジ達はどうだったかは分からないが、少なくとも今、ペトラと同じようにハッとしたような顔をした調査兵達は、ペトラと同じように犯人を捜すことだけに注視していたのだろう。
「を陥れたくて被験体を殺したのか、被験体を殺すためにを利用したのか。
どちらが先だったかは、分からない。
だが、それも、犯人が分かればおのずと答えも出ることだ。」
エルヴィンに言われて、それもそうかとペトラは納得する。
犯人を、捜すしかない。
誰が大切な被験体を殺し、を犯人に仕立て上げようとしたのか。
「まぁ、とりあえず、冤罪が生まれなくてよかったよ。
ジャン、アルミン、の無実の証言をしてくれてありがとう。」
「いえっ!俺達は何も…っ、本当のことを言っただけなのでっ!」
「それに、僕たちの証言がなくても、さんは自分で無実を証明出来たと思います。」
ハンジに頭を下げられ、ジャンとアルミンはあたふたし始める。
でも、本当にジャンとアルミンには感謝だ。
もし、ジャンがを早朝の自主練に誘っていなかったらー。
想像するだけで、ゾッとする。
確かに、アルミンが言うように、は、調査兵達に自分の無実を証明することは出来たかもしれない。
ペトラも巨人研究所で、の目だけで人を殺さんばかりの殺気は見ている。
あんな空気を放つ人間が、犯人なわけがないと誰もが分かるだろう。
でも、アリバイを証明することが出来ないを、頭の固い憲兵は犯人と決めつけて連れて行くに決まっている。
結局、会議は犯人のめぼしもつかないままで終了となってしまった。
会議に参加していた調査兵達が続々と席を立ち、会議室を出て行く。
その流れの中で、も暗い雰囲気のままで立ち上がり会議室を出て行った。
犯人の意図が何かは分からないけれど、を犯人にしようとしたことだけは確かだった。
だから、自分のせいでこんなことになった、と自分を責めているのかもしれない。