【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第64章 ◇第六十三話◇雲を払う【恋の行方編】
「どうしてもを犯人にしたいやつがいるってことか。」
ハンジさんが苦々し気に唇を噛んだ。
その隣で、リヴァイは苛立たし気に机を足で蹴る。
「、犯人に心当たりあるかい?」
モブリットがに訊ねた。
頭を抱えて目を伏せたままのの顔は上がらず、ピリピリとした空気が消えることもない。
会議室に静寂が訪れる。
しばらく答えを待つと、ようやく、顔を上げないままでが口を開いた。
「さっきからずっと、考えてるんです。」
「そうか…、分からないよな、そんなの。ごめん。」
「私を…、陥れるために、そんなくだらないことのために、
大切な被験体を殺したんでしょうか?」
「え?」
「さっきからずっと、考えてるんです。
どうしてそんな馬鹿なことしたのかって。アレをどうやって捕まえたか、私達はみんな知ってた。
どんな意味があってあの巨人研究所にいたのか、みんな知ってた。」
それなのに自分を陥れるためだけに大切な被験体を殺したのかー。
は絞り出すような声で、苦しそうに訊ねてくる。
自分の話を聞いているエルヴィン達に訊ねるというよりは、なぜそんな馬鹿なことをするんだという苦しみが声になったようだった。