【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第62章 ◇第六十一話◇閉じるしかなった心の扉【恋の行方編】
ソファに座ったアニは、キョロキョロと部屋を見渡していた。
憲兵団施設のアニの宿舎は見たことがないけれど、彼女の部屋は同期との2人部屋で、個室ではないらしく、自分の部屋よりもだいぶ広いと驚いていた。
「こんなに広い部屋、私にはもったいないと思うんだけどね。
物もあんまりないし。」
どうぞー、とアニに紅茶を渡して、隣に並んで私もソファに腰をおろした。
私の部屋を見渡し「それもそうだね。」と正直に頷いたアニは、紅茶を口に運ぼうとはせず、膝元に置いて口を開いた。
「調査兵団って普段、何してんの?」
「んー、訓練とか?」
「それだけ?」
「後は、そうだなぁ。書類仕事もあるし、他の兵団のお手伝いしてることもあるし、
あー、今は新兵はトロスト区の見回りしてるよ。」
「アンタは?」
「私?私が最近してるのは巨人の実験かなぁ。」
「へぇ~、この前の壁外調査で捕獲したって巨人?」
「よく知ってるね。」
「憲兵でも噂になってたからね。どんな実験してるの?」
「まぁ、いろいろだよ。
それより、楽しい話しようよ。非番の日まで巨人実験のことは考えたくないっ。」
頭を抱えて大袈裟に言う私に納得したのか、アニはようやく紅茶を口に運んだ。
それからしばらくは、お互いに最近あったことを話した。
でも、結局、私もアニも兵士をしているから、世間話でさえも兵団関連ばかりになってしまう。
話の流れで、トロスト区に巨人が襲来した日のことになったとき、私は、少し前に巨人実験をしながらふと思ったことを思い出した。
「超大型巨人と鎧の巨人も巨人化出来る人間なのかなぁ。」
「え?」
心の中で呟いたはずだったのだが、声に出ていたようだ。
驚いた様子で私を見るアニの顔で気が付いた。
そもそもエレンが巨人化出来るということ自体が信じられないことなのに、他にもそんな人間がいるかもしれないなんて話、それこそ頭がおかしいと思うに違いない。
「ごめん、変なこと言ったね。
ちょっと思っただけなの。そんなわけないよね。」
慌てたように誤魔化した。